■住みやすい街・埼玉

 

 2019年に公開を控えた映画『翔んで埼玉』は、魔夜峰央氏の同名マンガが原作。東京都に入るためには通行手形が必要、埼玉県民には肥やしのにおいが染みついている等々、埼玉県をとことん蔑むぶっとんだ設定が話題になった。

 昭和後期には「ダサイタマ」といわれた埼玉県。それを逆手にとってか、現在では川口市が「お願い住んで川口」というPR動画を公開している。マンションを探すファミリーに川口市のご当地キャラ「きゅぽらん」が川口への移住を進めるというストーリーだが、「治安だっていうほど悪くない」という自虐的なセリフもある。

 民間調査会社のブランド総合研究所が発表した「都道府県&市区町村魅力度ランキング2018」において、埼玉県は43位とワースト5に名を連ねた。東京に隣接しているにもかかわらず、長きにわたってこうしたパッとしないイメージを持たれがちな埼玉県だが、実際にはとても暮らしやすい地域だと感じている。

 

 まずは交通の便。東京から近いだけでなく、大宮駅には東北・山形・秋田・北海道・上越・北陸新幹線が乗り入れている点に注目したい。東日本への移動がしやすく、出張や旅行の際には大変便利である。

 生活環境としては、ショッピングモールもたくさん存在する。イオンレイクタウンやららぽーと新三郷などの大型店舗をはじめ、各地に点在しているのが特徴だ。実際に筆者の暮らす街には、自転車で行ける範囲に4つの施設が存在する。観光資源や名物の知名度が低く、魅力がないと思われがちだが、こうした暮らしやすさへの評価は年々高まっているようだ。

 不動産・住宅サイト「SUUMO」(リクルート住まいカンパニー)が発表した2018年「住みたい街ランキング関東版」では、さいたま市の大宮(9位)と浦和(10位)がトップ10入りを果たした。デパートなどの商業施設がありながら、自然も残されたバランスの良さが評価されているようだ。

 目立った特色がないけれど、ふだんの生活が送りやすいというのも立派な魅力。東京をはじめ、関東各地を移り住んだ筆者の感想としては、一二を争うほど住み心地がいい。こうした魅力はなかなかアピールしにくいが、住民たちは肌で感じているからこそ、自虐ネタや自県を蔑むような作品にも寛容でいられるのかもしれない。