■間接税強化で自立心を!

 そんな中、「グループ1984年」を名乗る政治学者の集団が、『文藝春秋』1975年2月号に、「日本の自殺」という大論文を発表します。この論文、政財界を中心に大きな反響を呼び、翌年には単行本として刊行されました。
 当時、経団連の会長だった土光敏夫さんなど、内容にいたく感心、論文のコピーを周囲に配ったうえ、『文藝春秋』の編集長にたいし、筆者(たち)に会いたいと紹介を頼んだとか。2012年には文春新書より復刊されていますので、今でも比較的容易に入手できます。
 ならば、「日本の自殺」とはどんな論文だったのか?

 簡単に言えば、「今や日本人は、政府や自治体にたいし、タダでサービス(わけても社会保障)を要求する自堕落な甘ったれになった。こんなことでは財政が危ないし、だいたい社会的活力が低下する。行き着く先は国家の自滅だ!」と警告したのです。堕落を引き起こしたとされる要因は以下の通り。

(1)    戦後日本の支配的風潮だった平等志向
(2)    それに起因する福祉国家志向
(3)    高度成長で豊かになった結果、安楽な生活に慣れたこと

 だったら日本再生は、「社会保障などのサービスはタダではない」という点を再認識させることから始まります。

 コストを徴収するのですから、これは当然、増税につながる。けれども問題は、どの税を強化するか。

「日本の自殺」の論理によれば、戦後日本(人)の堕落をもたらしたのは平等志向。すなわち再生への活路は、エリート主義的な自由志向に見出されねばなりません。

 よって累進性を持つ所得税の強化はアウト。だいたい当時、所得税の最高税率は、75%に達していました(現在は45%)。これだけ高いと、さらに引き上げるわけにもゆかないでしょう。

 同様、高度成長が終わったあとの国の活路を見出そうとしているのですから、法人税の引き上げを主張するのも無理。となれば、大型間接税の導入以外に手はありません。

 しかも大型間接税なら、あらゆる層にまんべんなく課税されるので、国民の甘えを抑え込み、自立の精神を持たせるうえでも最適のはず。

 そうです。

「日本の自殺」の論理にしたがうかぎり、社会的格差の拡大をもたらすような税の導入こそ、道義的に正しいことであり、望ましい世直しだということになるのです!

 
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