東京・足立区鹿浜。この「陸の孤島」とも揶揄される場所に、行列が絶えない焼肉屋がある。平日は、17時の開店2時間前、早い日は3時間前から行列ができることも。お客さんのお目当ては新鮮なホルモンと肉だ。その焼肉屋「スタミナ苑」の顔・豊島雅信氏が、著書『行列日本一スタミナ苑の繁盛哲学』を上梓した。豊島氏が語る、レバーのほんとうの旨味。

■「焼いたほうがうまい」

 

 新鮮なレバーはつい最近まで生で食えたよね。 うちの店でもレバ刺しは大人気だった。

 レバーの生食が禁止されたのが2012年。早いもんだ。今じゃ店には「よく加熱して食べてください」という張り紙を貼ってある。食中毒を出したら営業停止なんだから、いやでも客の目に入るようにするしかない。

 

 僕も昔は生で食ったほうがうまいと思っていたし、いまでも生で食いたくなるときはある。

 でも、だんだん焼いたほうがうまいと思うようになってきた。焼くとなんとも言えない甘みが出るんだ。あわびだって、焼いたり蒸したほうがうまくなるのと同じだよね。

 うちのお客で、僕らの目を盗んで生で食べようとする奴が時々いるんだ。そんな行為を見つけたら「おい、そこの」ってわざと恥をかかせる。

「ふざけんな!お前のせいでうちは営業停止だバカヤロウ!」って大声出しちゃうよ(笑) 。

 気持ちはわかるけど、うちだって商売だ。決まりはきっちり守ってもらわないといけないよ。営業停止になんかなったら、楽しみにしてくれている他のお客さんにだって申し訳ないからね。

 でもレバーは焼きすぎたらパサパサになってしまうから加減が難しい。そんなときはさすがに声をかけちゃうよ。おいしく食べてもらいたいもんね。

 肉のうまさはどこにあるのか。それは脂にあるんだ。カルビもそうだけど、レバーも脂が乗っているからおいしい。ホルモンも脂が良くなきゃおいしくない。肉を触って、脂がねっとりしているかどうかでうまさがわかる。触るといい脂は手の熱ですぐに溶けはじめるんだ。