■戦後日本型平和主義の問題

「平和」と「平和主義」は、似て非なるもの。

 英語でも、前者が「ピース(peace)」なのにたいして、後者は「パシフィズム(pacifism)」。語源的なつながりはありますが、別物です。

「社会」と「社会主義」がいかに違うかを考えてみれば、事は一目瞭然でしょう。20世紀前半のフランスを代表する劇作家であり、外交官でもあったジャン・ジロドゥなど、こう喝破しました。

「平和主義者とは、戦争を阻止するため、常に戦う用意のある人間のことだ」

 とはいえ、あらゆる平和主義(者)が、ジロドゥほど毅然としているわけではありません。わけても戦後日本における平和主義は、〈戦争を阻止するためなら常に戦う用意がある〉どころか、〈とにかく戦うことだけはしたくない〉という臆病風丸出しの代物。

 戦いをとにかく回避するには、どうしたらいいか? あるいは、何をしなければいけないか?
 ・・・お分かりですね。他国との対立が深刻化しないよう、八方美人的な事なかれ主義に徹する必要があるのです。これこそ、戦後日本が長らく取ってきた外交方針にほかなりません。ちなみにこの方針、「低姿勢(外交)」と呼ばれてきました。

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