■繰り返される国益の損壊

 この記事の前編では、戦後日本の平和主義が、「他国との対立が深刻化しないよう、八方美人的な事なかれ主義」に徹する外交方針へと行き着くことを指摘しました。
 くだんの方針は「低姿勢(外交)」と呼ばれます。けれどもこれでは、自国の戦略や権益を積極的に打ち出すことはできません。

 しかも外交とは、衝突や紛争にいたることなく、自国の戦略を実現し、権益を満たすための手段。つまり低姿勢外交など、本来の意味における外交の否定にほかならず、「軟弱な外交もどき」としか評しえないのです。
 ところがわが国は、低姿勢外交を脱するどころか、グローバリズムの流行によって、自分たちの方針がお墨付きを得たかのように錯覚するにいたりました。グローバリズムとは、要するに「国境や国籍にこだわる時代は終わった」と構える理念ですから、自国の戦略や権益を積極的に打ち出す時代も過ぎ去ったことになるのです。

 けれども現在の世界では、グローバリズムが広まったせいで、国家間の対立はむしろ先鋭化する傾向を見せています。そんな中、低姿勢外交を展開したら、わが国の国益は必然的に損なわれる。
 日本外交は「失敗の法則」とも呼ぶべきものに取りつかれているのです。前編ではその例として、北方領土問題をめぐり、安倍総理がプーチン大統領に完敗した経緯を検証しました。

 とはいえ良くないことに限って、繰り返されるのが世の習い。
 後編はこれを追ってゆきましょう。

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