2014年に行われた「第7回 男女の生活と意識に関する調査」の結果、1カ月以上セックスをしていない状態を「セックスレス」と定義し、既婚者について調べたところ、日本の夫婦のセックスレスの割合は44.6%にものぼりました。10年前の調査の31.9%から大幅に増えていることが分かりました。なぜ、日本では夫婦のセックスレスが増えているのでしょうか? 夫婦のセックスレスは、世界の「非常識」ですが、日本で「常識」なのは、なぜでしょうか? かつてはナンパ師として知られ、今ではご家庭をお持ちで、『「絶望の時代」の希望の恋愛学』『愛のキャラバン』などの著作から「愛の伝道師」とも呼ばれている宮台さん、日本の夫婦のセックスレス問題の本質を教えて下さい!(「社会という荒野を生きる。」より

■センシティブなクエスチョネア問題

 
 
 

 まず、この統計数値を解釈する前提として、社会調査で「センシティブなクエスチョネア」[クエスチョネア=質問紙を使って行なう調査の質問項目のこと]と呼ばれる問題があります。つまり、「微妙な質問だから正直に答えづらい」んですね。

 そもそも、セックスに関する話題が答えにくいうえに、「セックスしていない」などというネガティブな回答が、さらに答えにくい。だから、夫婦のセックスレス割合は、実際にはもっと多いはずです。

 実際、いろんな人たちの話を聞く限りだと、相当多いでしょうね。44・6%なんて数字よりも、ずっと多いだろうと想像しています。まあ、そのことを割り引いたにしても、夫婦の半分がセックスレスというのは、他国に比べて断然多い。

 

 次に、もう一つの前提だけれど、「セックスが必要なのか」と聞かれれば、個別の夫婦がセックスをしようがしまいが、夫婦の勝手。僕にとってはどうでもいい。ミッシェル・フーコーが言う人口学者のように、「産めよ増やせよ」とも思いません。勝手にどうぞ。

 ただ、昔からよく問われる「なぜ日本では諸外国に比べて夫婦間のセックスレスが多いのか」という謎や、「なぜセックスレスが増えているのか」という謎に、社会学者として答えることは、それなりに可能です。

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