■起業家の時代

 いまほど起業家が脚光を浴びる時代はない。

 たとえば、幻冬舎の箕輪厚介氏がしかけたレーベルNewsPicks Book。

 堀江貴文氏の『多動力』に始まり、SHOWROOM前田裕二氏の『人生の勝算』、メタップス佐藤航陽氏の『お金2.0』など起業家の著作が続々ベストセラーとなった。先行き不安な時代にあって、会社に雇われるのではなく、自分の力でビジネスを創り出す彼らの生き方・哲学に惹きつけられる人は多い。

 その少し上の世代には、角川書店でのポジションを捨てて、幻冬舎を立ち上げた見城徹氏。フリーペーパーの飛び込み営業を経て、巨大IT企業サイバーエージェントの社長となった藤田晋氏といったカリスマ性あふれる起業家がいて、彼らの登場も大きかった。

 しかし昭和から平成の始めにかけての日本にも、怪物のような起業家がいたのをご存知か。

■藤田田という怪物

「勝てなければビジネスじゃない」と解く代表作『勝てば官軍』。座右の書とする経営者も多い。

 その名前は藤田田。

 ふたつめの「田」は(デン)と読む。

 名前は聞いたことがなくとも、氏が創業した外食チェーン「日本マクドナルド」を知らぬ者はいないはずだ。

 1926年大阪生まれ。旧制北野中学、松江高校を経て、1951年東大法学部を卒業。在学中GHQの通訳を務めたことがキッカケとなり、「藤田商店」を設立、学生起業家として輸入業をてがけた。そして1971年に米国マクドナルド社と50:50の出資比率で「日本マクドナルド」を設立。同年7月20日、銀座三越デパートの1階に第1号店を出店するや、またたく間に日本中にハンバーガー旋風を巻き起こす。わずか10年あまりで日本の外食産業での売上1位を達成。日本人の食習慣を変えていった。

 

 その成功を支えた、藤田氏の金儲けの哲学が、恐ろしいほど本質的で、時代を超えて刺さる。

・数字に強くなれ

・コンピューターがあれば、どこでも商売ができる

・超スピード時代の決算は毎日やれ

・頭脳を代わりをやる企業が伸びる

・社長にプライバシーはないと覚悟せよ

・実行力の伴わないアイデアはカスだ

・名刺より話題を出せ

 など、著書には数々の金言が収められている。もうすでに、インターネットでビジネスがつながる時代を予見していたし、浮足立ちがちな現代の起業家への戒めとなる言葉もあり、驚かされる。

 藤田田の頭を中をのぞけば、ホンモノの起業家精神に触れることができるはずだ。